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未来を担う きみたちに贈る先輩からのメッセージ

スペシャルインタビュー

スペシャルインタビュー

現在、文科省の主導のもと大規模な教育改革が始まろうとしていますが、その背景にはこれからの社会と、そこで求められる人間像の激変があります。
たとえば、現在推進中の教育改革のキーコンセプトの多く(課題解決力、主体性や協働性、コミュニケーション能力など)は、ビジネスシーンでは既に常識化しているものばかりです。そこで三重県で創立して50周年を迎えたeisuは、「日本を、世界を引っ張るリーダーを!」をテーマとして、三重県出身でビジネスシーンをリードする経営者に、これからの社会で必要とされる教育や人間像について伺います。初回は、時代の流れを先読みした新しい市場・商品を創造し、生命保険業界にイノベーションをもたらしたライフネット生命保険の出口治明 代表取締役会長 兼最高経営責任者(CEO)に、eisuの伊藤奈緒が取材しました。 (2015年1月30日 eisu本社にて)

勉強をたくさんすればするほど、できることも多くなり、楽しいことも多くなります!

これからは過去の成功経験が通用しなくなる時代

伊藤:

現在、文科省のもとで大学入試を初めとした教育改革が進んでいます。その背景には日本社会が激変しているという現実があります。まず出口さんは、たとえば5年後・10年後に日本はどうなっていると思いますか?

出口:

この先の日本社会がどうなるかと問われても、正直「わからない」と言うしかありません。たとえば為替は現在1ドル120円前後で推移していますが、このことを1年前に予想できた人がどれだけいたでしょうか? これを思うと、将来の日本社会はこうだと言い当てるのは不可能なように思えます。でも確かなこともあります。それは、戦後の高度経済成長期のような時代はもう来ないだろうということです。戦後の日本は、米国に「追い付け、追い越せ」という「キャッチアップモデル」に則っていました。順調に人口も増え、経済成長もしてきました。しかし、これからはゼロ成長の時代です。わが国は、人類がこれまで経験したことのない領域に足を踏み入れつつある「課題先進国」となっています。キャッチアップすべき相手はもうありません。でも人類の歴史を省みると、人口や経済規模が時とともに増大していく時代の方が異常であり、ゼロ成長の中で何とかやりくりしていく方がむしろ普通なのです。まず大人の方が過去の成功経験や固定観念を捨てて、この現実を直視することが大切です。

伊藤:

今の大人たちが持っている常識は「社会が右肩上がりで成長して当然の時代」に培われたものですから、その延長で今の子供たちの進路を考えてはいけないということですね。今の子供たちは、誰も経験したことのない困難な時代を生き抜かないといけない。そのために必要な能力を身につけるというのは、本当に大変なことです。

出口:

そうです。今ほど教育が大切な時代はありません。教育によって、子供にこれからの時代を生き抜く能力をしっかり身につけさせないといけないのです。

自分の頭で考える力を持ち、「自立」を目指す。それが教育の目的

伊藤:

これからの時代を生き抜く能力とは、具体的にはどのようなものですか?

出口:

物事を自分の頭で考え、自分の意見を、自分の言葉で語れる思考力です。それを養うのが教育の目的であり、最優先課題だと思います。先ず幼少時の教育を通して、自分の頭で考え、自分の意見を自分の言葉で伝える思考力を養う。それさえ身についたら、後は生きるために本当に役に立つ「武器」、必要な知識や技能を詰め込んだらよい。そうすれば子供は、自分の頭で考えられる、自立した大人になれると思います。

伊藤:

それは文科省の言う「思考力・判断力・表現力」の重視と直結しますね! 私たちeisuも、この先行き不透明な時代に、自分の生活を自力で築き、自分の幸せを自分の手でつかむことができる、そうした主体性と実力を持つことを「自立」と呼び、教育目標にしています。そして自立をするには、まず「志」を持ち、そのために具体的に目標を設定することが全ての始まりだと思っています。

出口:

その通りですね!「志」を持ち、「こういうことをしたい!」と腹落ちできれば、子供は自分から主体的に動き出すと思います。これからの時代を生き抜ける人を育てるためには、学校だけでなく、eisuさんのような学習塾やご家庭も含め、教育にかかわるすべての大人たちがこうした教育の実現のために力を合わせる必要があると思います。

人が人に働きかける、それが一番の教育

伊藤:

では、ご家庭の保護者の皆さまに出口さんからアドバイスをいただけませんか?

出口:

私は読書が大好きなこともあり、「どうすれば読書好きの子供が育つのか?」と質問されます。私の答えは簡単で、親が本を読んで喜んだり笑ったりしていれば、きっと子供も本を読むようになりますよ、ということです。親が楽しんでやれば、子供はついてきます。人の成長にはロールモデル(真似をしたくなる相手。お手本)が必要です。親は、子供にとって一番のロールモデルではないでしょうか。山本五十六の有名な格言も、まず「やってみせ」から始まりますよね。

伊藤:

そうですね。人を感化できるのは人でしかない、私もそう思います。もし大人が子供の前でため息ばかりついていたら、子供は大人になんかなりたくないと自然に思うでしょう。子供の可能性を広げるのは私たち大人次第ですよね。

出口:

eisuさんでは「明るく、楽しく、元気よく」を標語にしておられますよね。壁に貼っておられるのを見ました。実はライフネット生命では「元気に、明るく、楽しく」が標語なんですよ! 私たち大人がそのように子供たちに働きかけたら、きっと子供たちも自然にそうなりますよ! 人が人に働きかける、それが一番の教育です。

勉強すれば、楽しい世界が開けてくる!

伊藤:

最後に、いま勉強にがんばっている子供たちに贈るメッセージをお願いします。

出口:

たとえばサッカーをするなら、カッコよくパスやシュートを決めて活躍したいものです。その方がずっと楽しいでしょう? でもラクしているだけでは活躍はできません。ゲームを楽しむには練習が絶対に必要ですし、練習してできることが増えれば増えるほど、ゲームが楽しめるはずです。勉強も全く同じです。練習して努力して、自分にできることが増えれば増えるほど、可能性が広がり、楽しい世界が開けてきます。世界には楽しいことがいっぱいあります。その楽しさをたくさん味わうために、たくさん勉強してください。勉強をたくさんすればするほど、できることも多くなり、楽しいことも多くなります! ほとんどの子供にとって、たくさん勉強することが、人生を豊かにする一番いい方法だと思います!

伊藤:

全く同感です。私たちeisuもそんな想いを抱きながら、日々現場で子供たちに向き合っています。「志」を持ち、努力をおこたらず、自分自身だけではなく周りの人にも幸せをもたらすことができる人。そんな、世の中の「宝」になるような人―「人財」―が溢れる社会を目指して、私たちeisuはこれからも自己研鑽に励んでまいります。本日はありがとうございました。

ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長兼CEO 出口治明(でぐち はるあき) http://www.lifenet-seimei.co.jp/ http://www.lifenet-seimei.co.jp/
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